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就業規則で会社を守れ!

労務問題対策としての就業規則作成

未払い残業・パワハラ・うつ病などの労務問題が、近年急増しています。また、これは以前から続いていることですが、退職時の有給休暇未消化問題もあります。よくあるのは、退職時に引継ぎなどもろくにしないで有給を消化して辞めていくパターンです。これは、会社にとっては大きな痛手となります。

そこで、これらの労務問題を前向きに解決していくために、就業規則を工夫することをおすすめします。

労働基準法では、常時10人以上の労働者がいる場合には、会社に就業規則の作成及び届出を義務づけています。ここでいう常時10人以上の労働者とは、正社員以外にもパート・アルバイトや契約社員も含みます。

逆に10人未満であると、法律上は就業規則の作成及び届出をしなくてもかまいません。ただし、この場合、厳格な労働基準法の適用となってしまいますので、労使間のトラブルが発生しそうな会社では、会社を守るためにあえて就業規則を作成することをおすすめします。

最低盛り込んでほしい内容

就業規則には、始業及び終業の時刻や賃金などの絶対的記載事項や職業訓練などの相対的記載事項がありますが、「会社を守るため」という視点からは、以下3つの項目をぜひ就業規則に盛り込んでください。

1.解雇の定め
2.固定残業の定め
3.年次有給休暇の計画的付与の定め

急に会社に来なくなった、精神的な病気で職務復帰が難しくなった、取引先に多大な迷惑をかけた、社員としての品行が著しく悪い、などがあっても基本的には規定がなければ会社を辞めてもらうことは難しいです。

そこで、末尾記載にあるように、「解雇」の規定を就業規則に設けることによって会社を守れる場合があります。ただしこれらの規定があるからといって、解雇が安易に行えるというものではありませんのでご注意下さい。

ちなみに、就業規則の変更には、原則、労働基準監督署に対して「変更届」と合わせて「従業員の過半数を代表する者などの意見書」の添付が必要となります。

固定残業の定め

前項でみたように、未払い残業問題の対策として、「固定残業制」とする方法があります。

これは、労使間で合意している残業代込みの賃金体系を維持するために、「○○手当」となっている給与明細を実態に合わせて「○○時間外労働手当」とするものですが、もちろん給与明細を変更するだけではダメです。就業規則や賃金規定において、この「○○時間外労働手当」が残業代であることを明記しなければなりません。更には、実際の残業がその固定残業を超えたときには、別途支払う旨も就業規則(賃金規定が一般的)に記載する必要があります。

そこで就業規則などへの記載例を末尾に書きましたので、参考にしてください。

年次有給休暇の計画的付与制度

年次有給休暇とは、労働基準法で義務付けられた制度で、使用者は6ケ月以上継続勤務した労働者には、その労働者が請求する時季に有給休暇を付与しなければなりません。

一般の労働者の場合、6ケ月で10日、1年6ケ月で11日、・・・、6年6ケ月で20日となっています(図参照)。また、この年次有給休暇は1年間の繰越が認められていますので、多い人では最大40日の有給休暇があることになります。

有給休暇

ただし、年次有給休暇には、「計画的付与制度」というのが設けられています。有給休暇の計画的付与制度では、有給休暇のうち「5日を越える日数」については、労使協定で定めた日に付与することが可能となります。例えば、ゴールデンウィークの谷間の日やお盆などを有給休暇の消化として設定することができる、ということです。

手続きは、末尾記載にあるように就業規則に年次有給休暇の計画的付与を行う旨を規定し、それに基づき従業員の過半数を代表する者などとの間で、対象となる年次有給休暇の明細などを記載した労使協定を締結します。

たとえ、退職時に有給休暇を請求されたとしても、計画的付与制度を適切におこなっておけば、会社の負担は大きく削減されることでしょう。

服務規程も詳細に作成

できれば、就業規則は「正社員用」と「パート・アルバイト用」の最低2種類作成してください。というのも、就業規則が1つしかない場合は、退職金や賞与、昇給などの正社員以外に適用すると不合理となる規定も正社員と同様に取り扱われてしまう可能性があります。

また、いくら就業規則の作成が大事といっても、当然ですが、法律(労働基準法)を逸脱する内容の就業規則は無効となりますので、ご注意下さい。中小企業の就業規則をみていると、週40時間労働や残業計算などで、そもそも法律を逸脱しているというケースもありますので、最終的には専門家のチェックを入れるようにしてください。

そして、最近では、若い人を中心に仕事に対する当たり前の心構えができていない、というケースも多く見受けられますので、就業規則と合わせて「詳細な服務規程」の作成もおすすめします。

ここまで、経営者及び従業員にとって非常に厳しいことを書きましたが、一番いいのは労使関係を良好に保ちトラブルを発生させないことです。そのためには、経営者は従業員とこまめなコミュニケーションをとり、従業員に対して感謝の心を忘れないようにすることです。また、「従業員を切ると得意先から切られる」という言葉は、名経営者の多くが口をそろえるということも覚えておきましょう。

そして、「規定は厳格に、運用は緩やかに」を心がけてください。

就業規則などへの記載例

2008.10.1執筆

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

 

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今村 仁

今村 仁

「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。

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