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債権回収するための5つのステップ

債権回収には、段階を踏んで取り組もう

きちんと与信管理をやっていても、ときには支払いが滞るような滞留債権が発生してしまうものです。

 

ここでは、創業5年以内の中小企業という前提で、「債権回収をするための5つのステップ」を考えてみました。滞留債権となるよくあるケースは、「意思疎通が不完全で支払いが滞っているケース」と「相手先が『ちょっと待ってほしい』と言っているケース」です。どちらの場合も、大事なのは「血の通った話し合い」であることを心に留めておいてください。

債権回収のステップ1 話し合いを行う

「話し合いが大事」とはいえ、入金漏れが発覚したときは、出来るだけ早く対応することが重要です。

 

例えば、末日入金の場合、1日の午前中に入金漏れの確認をして、その場で未入金先に電話連絡を入れるぐらいのスピード感が必要です。出来れば、相手の会社にも出向きましょう。

 

話し合いでは、まず、入金が遅れた理由を確認します。

 

もし、こちらの請求書の送付遅延や商品・サービスに不満を感じていることなどがその理由であれば、こちらも譲歩するところは譲歩して、解決策を探ってください。

 

そうではなく、相手の資金繰りの関係で支払いが遅れている場合には、自社の支払い優先度を上げる手立てが必要です。支払い先すべてに遅延が生じているわけではないでしょうから、こちらの行った仕事の中身を十分に話して、情に訴え、他社よりも当社を優先するべきであることを相手の会社にしっかりと認識してもらいましょう。

 

「債権者は平等である」とよくいわれますが、実際は違います。会社に何度もやってきたり、あれこれ言ってくる「うるさい相手」には、「先に支払ってしまおう」という心理が働きます。また、「なるはや」で債権回収をするのは、相手のお金がなくなってしまったら、とれるものもとれなくなってしまうからです。

 

話し合いの過程では、債権回収の費用対効果も常に頭に入れておかなければなりません。ときには、分割払いの提案やいくらかの値引きも必要となることがあるでしょう。

 

それでも、話し合いで妥協点が見出せないときには、たとえわずかでも入金してもらってください。その理由は、相手が債務を支払った場合には、債権が消滅してしまう時効の進行を一度リセットすることができるからです。一般的な売買代金債権(売掛金)の時効期間は原則、2年です。

債権回収のステップ2 内容証明郵便を活用する

こちらに非がなく、話し合いをしても相手が支払いに応じない場合には、取引内容を記した文章を「内容証明郵便」を使って発送します。内容証明郵便とは、「誰が、誰宛てに、いつ、どんな内容の手紙を出したのか」ということを郵便局が公的に証明してくれるものです。

 

実は、この内容証明郵便に法的強制力はありませんが、受け取った債務者側には心理的緊張感が生じます。わかりやすくいうと、受け取った側をあわてさせることによって、回収を早めようという作戦です。

債権回収のステップ3 公正証書にする

内容証明郵便を送ると支払ってくれるが、また2度、3度と入金が遅れがちになって未回収債権が膨れあがっていく・・・・というケースもあります。そのようなときには、「公正証書」の活用を検討してみてください。

 

公正証書とは私文書とはことなり、公証役場で公証人によって作成される文章です。そのため、文書の信憑性を問われることはなく、高い証明力と容易な強制執行などの特長があります。

 

例えば、今後の分割返済計画などの内容を、単に当事者同士の合意書レベルで作成するのではなく、少し手間と費用がかかりますが、公正証書にしておくのです。これは、債務者に対して、心理的圧力を与えることにもなるでしょう。

債権回収のステップ4 債権譲渡を検討する

特殊な債権回収手段ですが、例えば、「相手の商品やサービスを購入する」というのがあります。これによって、債権債務が両建てとなり、リスク軽減ができます。

また、「債権を川下取引先(滞留先に債務を有する先)に譲渡する」という方法もあります。これは、こちらが滞留先に有する債権をいくらかディスカウントした形で、「滞留先に債務を有する川下取引先」に譲渡します。すると、川下取引先では、滞留先に対する債権と債務が存在することになるので、これらを相殺(債権と債務を同額だけ消滅)できます。

 

いくらかの減額があるとはいえ、債権回収が実行されたことになります。ちなみにディスカウントをするのは、川下取引先にメリットがないと、通常、このような取引に合意してくれないからです。また債権譲渡は、通常、譲渡人である債権者から債務者への通知が必要となります。

債権回収のステップ5 法的手続き

債権回収の最後の砦が、「法的手続き」です。法的手続きといってもさまざまで、通常の訴訟は費用や時間がかかるため、おすすめしません。しかし、60万円以下の債権の場合には、「少額訴訟」という手続きが認められています。原則として、たった1回の審理で判決が言い渡されますので便利です。

 

また、話し合いで解決の余地が残っている場合は、「民事調停」という手続きも有効です。

 

さらには、債権者からの申立てで簡易裁判所が支払い命令を出してくれる「支払督促」という制度もあります。相手の会社が争うならば通常の訴訟になってしまいますが、明らかにこちらが有利な場合は、この制度も有効です。

2009年4月執筆

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

 

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今村 仁

今村 仁

「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。

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