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銀行マンに聞きました、「こんな決算書は嫌だ!ベスト3」
実質債務超過となっていませんか?
金融機関交渉を有利に導くためには、小手先のテクニックも必要ですが、今は何といっても「決算書の良し悪し」です。
決算書には、貸借対照表と損益計算書があります。貸借対照表では建物などの資産科目と借入金などの負債科目が表示されていて、資産-負債=純資産となります。そしてこの純資産がマイナス、つまり資産の金額<負債の金額となると、その会社は「債務超過」となります。
そしてこの「債務超過」にあたるかどうかというのが、金融機関交渉において大変大きな影響を及ぼします。そもそもお金を借りられるのかどうかにかかわってきます。銀行マンが嫌う決算書の第1位は、ずばりこの「債務超過に該当するのかどうか」です。
ここで注意しないといけないのが、表向きは純資産がプラスだけれども、各種資産項目を時価に計算し直したときに、「実質債務超過」に該当している場合です。例えば、棚卸資産が300万円と計上されているけれどもその中に不良在庫が含まれていたり、土地や有価証券などで含み損を抱えていたりしている場合です。こういったものが資産項目に含まれていると、「実質債務超過」となることがあります。もちろん、金融機関はこの実質で融資審査を行います。
この債務超過の解消には、利益を積み上げていくことや資本金を増額することなどが必要となりますが、それ以外にも、月次試算表を毎月チェックして売上の不足や経費の過大を早期に確認・是正していくことも大事です。
営業利益はプラスですか?
銀行マンが嫌う決算書の第2位は、「営業利益がマイナスの会社」です。損益計算書の構造は、上から売上高、売上総利益があって、そこから人件費や地代家賃、減価償却費などの支払利息以外の経費を差し引き「営業利益」があります。そしてこの営業利益から支払利息を差し引くと経常利益が求められ、更に特別損益項目を加減算して税引前当期利益となります。
ここで覚えておいてほしいのは、銀行が重要視するのは、本業の儲けを表す「営業利益」であるということです。極端な話、最終利益が赤字でも、営業利益が黒字であるなら融資の可能性はあります。金融機関は、本業での儲けを重要視しているといえます。最終利益は同じでもなるべく営業利益をよく見せる工夫が大事になります。
不明瞭な貸付金や仮払金は解消すべし
資金使途を重視する金融機関の立場からすると、資産項目に多額の不明瞭な「貸付金」や「仮払金」が計上されていると、もしその会社に融資を実行してもそのお金が他の会社や個人に提供されるのではないかと危惧します。運転資金として貸してくれといわれても、実はそのお金は他の関連会社の融資返済などに回るのではないか、つまり迂回融資になるのではないかなどと金融機関は考えます。つまり、金融機関にとっては、貸借対照表に多額の不明瞭な「貸付金」や「仮払金」が存在する会社には融資を実行しにくいという事情があるのです。そしてこの不明瞭な貸付金や仮払金が多額に計上されている決算書が、銀行マンが嫌う決算書の第3位となります。
ということで、経営に問題の無い「貸付金」や「仮払金」であれば、経営者はそのことについて発生原因や解消予定などを金融機関に詳しく説明すべきです。
更には、「貸付金」などはそもそも無いに越したことがありませんから、例えばそれが「社長貸付金」であれば「社長役員報酬」を増加させることによって減らしていくなど具体的な貸付金・仮払金解消スケジュールを組むことが大事になってきます。そしてその解消スケジュールを金融機関にも伝えてくださいね。
(銀行マンに聞きました、「こんな決算書は嫌だ!ベスト3」)
第1位 債務超過に陥っている
第2位 営業利益がマイナスになっている
第3位 不明瞭な貸付金や仮払金が多額に計上されている
2008.10.1執筆
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
今村 仁
「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。