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毎月簡単に納税予測できるやり方とは?| 大阪の税理士法人:大阪・京都・神戸・滋賀・奈良・東京・横浜を中心に活動/会社設立/法人設立/創業/創業5年/決算対策/節税対策/資金調達/税務調査/
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毎月簡単に納税予測できるやり方とは?
税金というのは日々発生
税金というのは、日々発生していると考えるのが正しい理解の仕方であると思います。
今日、利益100円のものが1つ売れたのであれば、売上と同時に税金100円×40%(実効税率と仮定)=40円も発生していると考えてください。ですから、手元に入金された100円すべてを自由資金と勘違いして使ってしまうと、のちのち資金繰りで翻弄されることになります。
とはいえ、日々の取引で税金部分だけを自分の頭の中だけで区分けしていくということは現実的に不可能です。毎月単位で納税予測を実施すればいいでしょう。
納税予測というと難しく感じる方もおられますが、概算金額ということであれば、比較的簡単に実施できます。
原則課税は税抜経理で処理する
まずは、消費税の納税予測です。これは原則課税方式の場合と簡易課税方式の場合で異なります。
原則課税方式の場合は、会計処理を「税抜経理」で実施してください。すると、貸借対照表の負債の部に売上に係る「仮受消費税」、および資産の部に経費に係る「仮払消費税」が集計されます。
原則課税(課税売上割合が95%以上)の場合の消費税の納税予測は、毎月の試算表を見て、この「仮受消費税-仮払消費税」で計算します。
さらにわかりやすくするには、下記のような仕訳を追加して、負債の部に「未払消費税等」を表示させることも可能です。
ちなみに、中間消費税を支払った場合には「未払消費税等」で処理すると、その時点での正しい支払うべき消費税の表示となります。
簡易課税は税込経理で租税公課を計上
基準期間における課税売上高が5000万円以下の場合に適用できる簡易課税方式の場合には、「税込経理」で会計処理したほうがわかりやすいです。
簡易課税の概算消費税計算式は、次のようになります。
簡易課税の計算式は、通常、売上高とみなし仕入率から計算します。
例えば、卸売業と小売業を経営している場合、まず、試算表から「課税売上高×(5÷105)」を計算します。これはいわゆる預り消費税です。
次に、支払い消費税は、卸売業に係る「課税売上高×(5÷105)×90%+小売業に係る課税売上高×(5÷105)×80%」となります(特例計算などもありますがここでは省略します)。そして、先ほどの預り消費税からこの支払い消費税を差し引きして、概算消費税を計算します。
税込経理で処理しているということは、売上や経費すべてが税込で表示されていますから、毎月の概算消費税を下図のように仕訳して経費計上する必要があります。
これで、ほぼ正しい利益が計上されたことにもなります。結果、税抜経理の原則課税と同様、貸借対照表の負債の部に「未払消費税等」が計上されることになります。
ちなみに、中間消費税を支払った場合には原則課税と同様「未払消費税等」で処理してください。
法人税等の予測はこうする
次に法人税等の予測ですが、利益がおおむね800万円以下の会社では税率を35%、利益が800万円超の会社では40%として、試算表に表示されている税引前当期純利益にそれらの税率をかけて求めます(資本金が1億円超で利益がおおむね3,000万円超計上されている会社は、「特定同族会社の留保金課税制度」の対象とならないか、顧問税理士などにご確認下さい。この場合税率が数%上がることになります)。
簡易課税の場合で、税込経理をしている場合には、先述のその月の概算消費税である租税公課を経費計上した後の税引前当期純利益を使って上記の計算を行ってください。
また、交際費課税など税務上損金不算入となる項目が多額にある会社は、顧問税理士などに確認してもらい、その損金不算入金額を試算表の税引前当期純利益に足して、その合計金額に税率をかけて納税予測を行って下さい。
法人税等の場合は、図にあるような仕訳をして、貸借対照表の負債の部に「法人税等充当金」として、その時点で支払うべき法人税等の概算予想額が表示されることになります。ちなみに、中間法人税等を支払った場合には法人税等充当金で処理して下さい。
源泉所得税も忘れないように
会社の納税予測でもう1つ忘れてはいけないのが、給料支給時に天引きする「源泉所得税」です。
毎月納付の会社では大丈夫かと思うのですが、源泉所得税の納期特例を行っている会社では、半年ごとにまとめて納税が発生しますので、事前に準備しておかないと7月10日や1月10日の納税時期に慌てることになります。
そこでこの源泉所得税も、給料の仕訳をするときに「源泉預り金」という単独科目で処理することによって、貸借対照表の負債の部に明示するようにしてください。
今までみてきた消費税、法人税等、源泉所得税の納税予測ですが、結果的には、毎月の試算表における貸借対照表において、負債の部に計上される「未払消費税等」、「法人税等充当金」、「源泉預り金」の合計額となります。
2009.4執筆
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
今村 仁
「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。