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会社が役員からお金を借りる・貸すときの注意点
会社と個人のお金は明確に区分する
個人事業と異なり、会社組織の場合は、自由に会社のお金を引き出したりすることは原則できません。
もし会社が役員からお金を借りる、または、役員にお金を貸し付けるというときには、一般的には金銭消費貸借契約書を作成する必要があります。つまり、会社のお金と個人のお金を明確に区分けしなければならないのです。
特に同族以外の株主がいる場合で、会社のお金を私的な目的で引き出した場合などには、法的に訴えられる可能性もありますので注意が必要です。出来れば、会社と役員とのお金の貸し借りは無いほうが好ましいといえます。
会社が役員からお金を借りるときの注意点
創業5年以内の会社でよくあるのが、「会社が役員からお金を借りる」ケースです。創業時や急に資金が必要となったときも、社長などが個人資金を会社に供給した場合に発生します。
これは、会社の貸借対照表上では、負債の部に「(役員)借入金」として表示されます。この役員借入金は、通常は、税務上問題となることはほとんどありません。
問題となる可能性があるのは、相続が発生したときです。その役員が亡くなったときの相続税の計算では、その役員借入金(役員側から見ると貸付金)は額面で財産評価をされます。実際は塩漬けとなっていて返済の見込みのない役員借入金であっても、です。
こうした役員借入金を解消するためには、次の3つの対策が考えられます。
①役員報酬を減額して、その分で借入金返済を実行する
長期敵なスパンで役員借入金を減少させていく手法としては、役員報酬を減額して、その不足分を役員借入金の返済として、その役員に支給していきます。
これは、役員報酬を減額した分、所得税および住民税、さらには社会保険料までもが減少するのでお得です。ただし、役員借入金の返済は経費にならないので、役員報酬を減額した分だけ会社には利益が計上されることになります。この点は注意が必要です。
②繰越欠損金のある会社では役員から債務免除してもらう
一気に役員借入金を減少させる方法は、その役員が債権放棄をすることです。つまり、会社から見ると、「債務免除をしてもらう」ということです。会社には、その分、「債務免除益」という特別利益が計上されますが、繰越欠損金などがあれば相殺され、課税を免れることもできます(ただし資本金1億円超の特定同族会社の場合は留保金課税がかかることがあります)。
③DESを実行する
DESを実施して、役員借入金(役員側から見ると貸付金)を株式という財産に変身することも可能です(税制改正によりDESによる金銭債権の現物出資にあっては、資本金の額はその金銭債権の時価となりました)。
株式であると、会社の価値を反映した株価が相続財産となりますので、相続税の節税対策となることがあります。
会社が役員にお金を貸すときの注意点
会社が役員にお金を貸すときには、税務上、その貸し付けに見合う受取利息を計上しなければなりません。この受取利息は収入に計上されるため、余分な税金を払うことになります。ですから、役員貸付金は役員借入金以上に問題なのです。
また、金融機関は、決算書に「役員貸付金」があることを嫌います。というのも、その会社に融資を実施しても、個人や他の会社にその資金が流用されるのではないかと危惧するからです。
この役員貸付金を解消する一番の対策は、役員報酬の増額です。そしてその増額分を役員貸付金と相殺させていきます。貸付金の額によっては少し時間がかかるかもしれませんが、役員貸付金はなるべく早くに解消するようにしましょう。
2009.4執筆
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
今村 仁
「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。