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役員給与は事業年度終了後3ケ月以内に改定を
税法が改正され、役員給与は3区分となった
平成18年に会社法が施行されて、それに合わせて税法も改正がされました。会社法では、役員の給与と賞与の支給手続きを職務執行の対価というくくりで一本化したので、税法も役員給与の形態を次の3区分に整理し直しました。
①定期同額給与
定期的でかつ同額支給される役員給与のことですが、一般的には、毎月同額を支給する役員給与のことを指します。
②事前確定届出給与
支給形態にかかわらず、事前に支給時期や支給額を定めて、その内容を税務署へ届け出ている場合の役員給与を指します。事前に届出をしなければならないことなど事務手続きの煩雑さなどから、中小企業において導入されているケースは少ないでしょう。
③利益連動給与
これはいわゆる業績連動型の役員給与のことです。ただし、この利益連動給与については、税務上認められるためには厳格な要件を満たす必要があります。
厳格な要件とは、例えば、①非同族会社であること、②報酬委員会での決定、③有価証券報告書への記載などです。現実的には、中小企業ではその導入が困難と考えられます。
結局、上記①から③の支給形態のうち、中小企業において最も多く利用されているのが「定期同額給与」です。事前に届け出の必要もなく、導入が簡単です。
事業年度終了後、3ケ月以内に役員給与を改定すべし
税法上は、前述の「定期同額給与」に該当するパターンとして、主に、以下で説明する4つを示しています。
①事業年度支給額同額給与
これは、単純に毎月定額の役員給与を支給することを指します。不相当に高額でない限り、当然に税務上費用処理が認められます。
②事業年度開始3ケ月以内改定給与
これは、「定期給与の額につき、その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3ケ月経過日までに改定がされた場合における次に掲げる定期給与」と規定されていて、「改定前の各支給時期における支給額が同額である定期給与」で「改定以後の各支給時期における支給額が同額である定期給与」とされています。つまり、変更前と変更後において支給額が同額となっているのです。
具体的には、3月決算の会社であれば、4~6月の間に役員給与を改定した場合には、その役員給与の全額を費用計上することが認められるということです。逆にいうと、事業年度終了後3ケ月を経過してしまうと、認められないことになります。
③経営状況が著しく悪化した場合
これは、事業年度開始3ケ月経過後であっても、役員給与の変更が認められる、例外のケースです。
たとえば、経営状況が著しく悪化した場合などには、事業年度開始3ケ月経過後であっても、減額改定の場合に限って、税務上も認めてくれるというものです。
しかし、減額改定を税務上認めてもらうためには、その減額改定理由が重要となります。法人税法基本通達9-2-13では、「一時的な資金繰りの都合」「業績が対前年比で下がった」という程度の理由では、減額改定理由にはならないという旨が示されています。よって、実務上は、慎重な判断が必要となるでしょう。また、税務調査時の釈明資料として、理由を付記した各種議事録の整備なども忘れないようにしてください。
④職制上の地位の変更等による増減額改定給与
これも、事業年度開始3ケ月経過後における役員給与の変更が認められるケースです。
たとえば、期中に平の取締役が代表取締役社長などに昇格して役員給与を増額した場合には、それがたとえ事業年度開始3ケ月経過後であっても、税務上容認されるというものです。
これは、他に該当する状況として、法人税法施行令第69条第1項第1号のロでは「役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情」とあります。更には、法人税法基本通達9-2-12の3に中でも、「例えば、定時株主総会後、次の定時株主総会までの間において社長が退任したことに伴い臨時株主総会の決議により副社長が社長に就任する場合や、合併に伴いその役員の職務の内容が大幅に変更される場合をいう」とあります。
つまり、「役員の職制上の地位の変更」や「役員の職務の内容の重大な変更」などの場合には、変更可能であるということです。
2009.4執筆
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
今村 仁
「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。